苦渋

6/6
前へ
/14ページ
次へ
中田はバックとコートを持って外に出た。 バッグに閉まってあったスマホを取り出す。静かに耳元にあてる。 「中田部長、どうかしましたか」 「高滝か、今どこにいるんだ」 「部長、まだ得意先です。もう少しだけ時間がかかりそうです。急用ですか」 「いや、ちょっと聞きたいことがあってな。おまえは猿渡と同期入社だったよな」 「そうですが何か」 「今も連絡を取り合っているか」 「ええ、たまに」 「そうか、ならちょっとお願いがあるんだが」 詳しい要件までは言わずに電話を切る。 電話を元にあったバックに仕舞うと中田は早歩きにエレベーターに乗った。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加