出会い

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出会い

ー葬儀の3ヶ月前ー 宗介は病院が好きではなかった。 色を失ったかのような白基調で無機質な建物の中にいると、ただでさえ少ない生きるためのエネルギーが、この白い壁という壁に吸い尽くされるイメージが湧いてくるのだ。 だから滅多なことでは病院には行かないと宗介は決めているのだけど、さすがに母が自転車で転倒して入院した、という知らせを受けたときには宗介は病院に飛んでいった。 もう夏も終わりに差し掛かっていたが、病院に着く頃には宗介は汗だくになっていた。 「怪我はそんなに大したことないんだけど、大事をとって1週間は入院することにしたわ」 母は少し申し訳なさそうな顔をして宗介に話した。 「僕は大丈夫だよ母さん。何も心配せずにゆっくり休んで」 嘘だ。僕は大丈夫ではない。 大学四年生の夏といえば、普通はもう就職先も決まり大学生活最後の夏を満喫しているものだ。ところが宗介は就職活動が全くうまくいかず、20社以上応募するも全滅。面接官からの心ない言葉や、友人の憐れみの態度にいちいち傷付き、心を擦り減らしていた。 僕はこの社会に必要とされていない。 拭っても拭いきれないこの思いが、日に日に宗介から生きる気力を奪っていた。
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