トレア・ディーニ魔法学院

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生徒たちは寮生活を送るのだが、いかんせん建物は乱雑に建設されているので、寮は最古の太陽5番寮から最大の大きさで最も新しい空の11番寮まで複数ある。 全員に個室が分け与えられているのだが、学年で分けられておらず、空き部屋ができたところに新入生を入寮させる。寮を統合して、学年分けする案も出ている。しかし手間と時間がかかるので、評議会でも結論が出せない問題のひとつのようだ。 生徒の1日について書いておきたい。 生徒たちは朝の6時半に起きて各寮長の講話を聴く朝礼に参加。その後ビュッフェスタイルの朝食をとる。8時に寮の掲示板で各学年の時間割を確認する。8時半には教室に集合し8時45分には授業が開始される。1時間授業が行われ15分休憩があるが、だいたい移動時間に消えてしまう。12時15分から1時間昼食休みになり、教室の近くに配置されている食堂で定食メニュで食事を摂る。13時15分からまた3単位授業が行われ、16時45分に1日の授業が終わる。 18時の夕食あと、生徒たちは予習・自習のため、学院に5つある大図書館で学んだり、魔術の出来をくらべたり、中には文官を志して弁論を磨く者など、それぞれの時間を送った後。寮は21時に消灯され新しい朝がやってくる。 授業は週5日行われ完全週休2日制だ。この休みに生徒達は魔導都市へ出かけたり、個別に勉強する。 なかには無茶をする者も少なからずいる。 「ディノ。あの話しはほんとなの?」 肩飾りが白い女子見習い魔術師礼装に4年次を示す銀製記章がキラリと輝く。同じほど瞳をキラキラさせてアニエは”図書の権化”と異名をとる。先輩たちからも一目置かれる友人に不意を突いて聞いた。図書館なので小声で。 「なんのこと?」 肩飾りが黒い男性見習い魔術師礼装に同じく銀製記章をつけて、一心不乱に読書に耽っていたディノは頭をあげて、アニエに視線をなげた。 「石窟の話し、私にしたでしょ。」 すこし拗ねたような声色で言う。 「あぁ、あれね。たぶんホントだよ。」 ふたりの話題はディノが図書館の奥でみつけた古文書のことだ。 それは魔法学院開学の祖、トレア・ディーニの石窟の場所を詳細に記録だったというのだ。 「2代目学院長の署名付きの日記かな。別れを告げた道のりが書いてあった。」 古文法で解読がたいへんだったけどね。と、軽く言う。アニエは好奇心を刺激された。 「わたし石窟へ行ってみたいな。」
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