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陽南子を見ていたかの様に、空から白い紙がひらひらと降ってきて、陽南子の手に収まった。
それは人の形に切られた人形であったが、陽南子にはそんなことは分からない。
ただその人形には、端正な文字で
「白い乗り物で京都に来なさい。」
とだけ、筆文字で書かれていた。
そして、読み返す時間も無く、淡雪の様に消えてしまった。
それは京都から遣わされた精霊。
普段なら気にしなかった陽南子も、今日ばかりは乗せられても良いと思えたのだから、不思議といえば不思議であった。
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