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ここに記すは、ある国の王の歩んだ七年間の軌跡である。
アルベルト・フィリア────彼は平和以外の顔を持たぬ国に生まれ、命ある全てから齎される愛に包まれて生きた。彼もまた目に見える全てを愛し、慈しむ事が幸福であった。金色の髪を風に靡かせ、翡翠の瞳を惜しげも無く細め微笑む彼は、宛ら身も心も聖者の如く美しき王だった。
十七歳を、迎える迄は。
この先一枚、頁をめくれば待ち受ける物は悲劇である。目を覆いたくなるような事もあるだろう。思わず叫びたくなる事もあるだろう。それでも目を背けずに見て欲しい。赤子のように純真な一人の少年が、心を壊され、穢されていく様を。
何故そんな酷い話を書くのか?何故だろう。知って欲しいのかもしれない。どれ程美しく輝かしい心を持つ人間にも必ず存在する、その笑顔の裏に潜む深い、闇の姿を────。
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