第二章 王の姿

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 城に帰り着く頃にはもう既に昼食が始まっていた。食堂に顔を出すと、口髭にパンくずを付けた大臣のマルフが慌てたように立ち上がった。 「どこに行かれていたのですか!?」  その間の抜けた愛くるしい顔に、二人して思わず笑が込み上げる。 「笑っている場合ではありません!シン!お前がついていながら!」 「違うんだ!私がわがままを言ったから……」  不服そうな顔を見せたが、追及を許さぬようアルベルトが軽く笑いかけると、マルフは納得しきれない様子で席に着いた。シンと目を合わせて軽く微笑み合う。朝の一件でまた少し、距離が縮まった気がした事が、アルベルトの心に微かな灯火を灯した。  その日は遅れた仕事を必死で片付けて、夕食の後も机に向かった。お陰で夜の散歩にも出られず、仕事が片付くとそのままシンに送られ寝室に入った。いつも先に寝ているエルバントが、その日はいなかった。あんな姿を見せた事怯えているのだろうから、明日ちゃんと謝ろう。そう思いながら、アルベルトは眠りについた。  夜中に降り出した雨が、この先の行く末を表すかのように強い音を立てて地面に打ち付け、空に轟く雷が、更なる暗雲を呼んだ。
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