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「俺には綾が必要なんだ。だから俺と結婚してくれ」
「はい」
「……え」
「私、壮ちゃんと結婚します」
「……えーっと…」
「?」
「いや…綾、ちゃんと俺の話、訊いていたか?」
「訊いていたよ」
「俺は結婚という契約でおまえを監禁しようとしているんだぞ」
「はい」
「はいって……意味、ちゃんと分かっているか?監禁って、家から一歩も出さないってことだぞ」
「分かってるよ」
「ずっと家の中に閉じ込められるんだぞ?いいのか、それで」
「プッ」
「?!」
「どうしたの、壮ちゃん。なんで今更そんなこといっているの?」
「だって…おまえ、あまりにもあっけらかんと『はい』だなんていうから」
「ちゃんと分かっているよ、壮ちゃん」
「……」
「壮ちゃんは私を家から一歩も出したくないから結婚するんだよね」
「……あぁ」
「私は壮ちゃんだけ見ていればいいんだよね」
「……そう」
「結婚してずっとずっと壮ちゃんの傍にいればいいんだよね」
「……うん」
「了解です。結婚します♪」
「……」
──なんだか俺の方がドッと疲れた気がした
もう何ヶ月も前から練習やシミュレーションを重ねて、ようやくプロポーズをする決意をして、万が一断られた場合にはどうやって承知させようかの算段も練っていたというのに……
(なんか…拍子抜けした)
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