世界。

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世界。

世界に無用な争いがあってはならない。 そして、無用な血が流れてもならない・・・。 争いのない世界こそが美しく、正しい・・・。 神の考えはそうだ。 しかし、神が作りだした人の考えは違う・・・。 人は傲慢で怠慢で残虐な生き物だ。 だからこそ、その上に立つ者は他よりも秀でていなければならない。 しかし、他よりも秀でているからと言って他より傲慢であってはならないし、怠慢であってもならない。 ましてや争いを好むような残虐性を持っていてはならない・・・。 傲らず、怠けず、他を想う心を忘れず・・・。 謙虚で勤勉で心優しき、穏やかな王・・・。 しかし、それだけでは王は務まらない。 全知全能の神は全てを知っている・・・。 だからこそ、神は自らの作った神獣(しんじゅう)に王を選ばせた。 己の手を汚さぬために・・・。 王は誰よりも謙虚でなければならないが誰よりも傲慢でなければならない。 王は誰よりも勤勉でなければならないが誰よりも怠慢でなければならない。 そして、王は誰よりも心優しくなければならないが誰よりも残虐でなければならない・・・。 世界は矛盾でできあがっている・・・。 だからこそ面白く、美しい・・・。
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