『冬ノ国』。

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『冬ノ国』。

(とう)ノ国』は月沈まぬ月の国。 その『(とう)ノ国』を治めし王・冬主(とうしゅ)の名は冬夜(とうや)冬夜(とうや)を王に選びし(しるべ)主月(しゅげつ)の名は疾風(はやて)。 『(とう)ノ国』は『四季国(しきこく)』の中で最も厳しい環境下にある国・・・。 『(とう)ノ国』の大地は一年の大半を雪に覆われ、日照時間も他国に比べると極めて少ない。 そのため作物は育ちにくく、人が出歩ける時間も限られている。 その上、『(とう)ノ国』は夜を表す国でもあるため、他国に比べると妖魔の数も多く、大型の肉食獣も多い。 そんな厳しく、危険な『(とう)ノ国』を統治する王・冬主(とうしゅ)冬夜(とうや)は名君と名高く、その王を選び、支える(しるべ)主月(しゅげつ)疾風(はやて)もまた名君と呼ばれている。 【『(とう)ノ国』の王は冬夜(とうや)様にしか務まるまい】 そんな言葉が囁かれるほど『(とう)ノ国』の統治は難しい。 そんな『(とう)ノ国』を治める冬夜(とうや)の容姿は男の(てい)でありながら、見る者を惹き付けて離さない。 黒の御髪(みぐし)に紫の瞳。 月光に照らされたその姿はまさに妖艶にして優美。 またその横に控える疾風(はやて)も妖艶であり、優美であるために恨めしい・・・。 主月(しゅげつ)疾風(はやて)は銀色の長い御髪(みぐし)に蒼の瞳を持つ。 そして、その獣系は狼。 狼は群れをなす。 その群れの中には必ず群れを束ねる長がいる。 そのため『(とう)ノ国』の王と(しるべ)は絶対主従の関係だと言われている。
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