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『秋ノ国』。
『秋ノ国』は風吹き止まぬ風の国。
その『秋ノ国』を治めし王・秋主の名はグレン。
グレンを王に選びし導・主風の名はシエルバ。
『秋ノ国』は他国との交易が盛んな国。
そのため、他国よりも多くの技術を有し、独自の発展をも遂げている。
その技術は今や『四季国』随一と言われるほどだ。
しかし、グレンが王になるまでは『秋ノ国』は『四季国』で最も発展が遅れていた国だった。
そのため、グレンは『四季国』一のやり手とも名高い。
『夏ノ国』の王・夏主のシバとグレンとは犬猿の中でお互いに顔を合わせればいつもいがみ合っているような間柄なのだが、お互いにお互いのことを心から嘲ることはしない。
それはお互いに相手の王としての・・・人としての器を認めているからだ。
【どんな愚なるモノでも疎かにすれば痛い目を見ることがありますから・・・】
そう言って笑んだグレンをシエルバは心の内で素直でないと思っていたがそれはいつものことかなどとも思っていた。
グレンはいつも素直でない。
どんなに辛い状況でも弱音を吐かないグレンをシエルバは尊敬し、誇りに思っているが『どうして?』とも思い、悲しくもなる・・・。
【どうしてグレン様はボクを頼ってくださらないのだろう?】
・・・と・・・。
グレンは王になる前は軍人だった。
だからこそ、強い面もあれば脆い面もある。
その事をまだシエルバは理解できていない。
そんなシエルバの獣系は鹿でシエルバのその性格は導の中で最も臆病で気弱だと言われている。
それは最小、最年少のモアよりも・・・。
シエルバのその臆病で気弱な性格をグレンは気に入っているのだが、シエルバはそのことを全く知らないでいる・・・。
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