第34話/新たな道筋

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「フレム! 何時まで寝とるんや、行くで!!」  昨日今日の間に何があったんだろうか?  俺が2階の寝室で熟睡していたところに、ストームがやって来て大声で叩き起こされた。 「ど、何処に?」 「なに寝ぼけとるんや。研修に決まっとるやろ」  仁王立ちしたストームが威張ったように両手を腰に当てて言うが、ちょっと待ってほしい。  研修に行くことになったのは昨日の話で、正式な雇用契約を交わしても無いのに何時決定した?  ポカンと呆気に取られていると、既に起床して活動していたグレイが、ひょっこり寝室に顔を出す。 「ストーム様、事情説明しないつもりですか?」 「研修は早いことに越したことないやろ」 「そうじゃなくて。細かいこと決めてる間、フレムが暇になるだろうからって。WPが研修を許可したらしいよ。ついでにWPに頼んどいたアイテムを取りに行かなきゃならないって、さっきウォーム様から聞いたけど」 「まぁそう言う事や」  だけど展開が早すぎて、ストームとウォームの働きに疑いを抱いてしまうのは俺だけだろうか?  事情が分かっても身動き出来ずにいると、今度は人型の鳳炎が顔を出して俺を呼ぶ。 「御主人、朝食の準備が出来てますよ」 「はよ着替えて来るんやで」 「私服準備しようか?」 「え? あっ大丈夫だよ。グレイは、鳳炎の方を手伝ってあげて」 「分かった」  好意と分かっていても、そこまで世話になる訳にはいかないとばかりにお断りを申し入れた俺は、皆が立ち去った後にベッドから降りると、急ぎ私服に着替えて眼鏡を装着。  ーーしっくりくるなぁ。  今の視力では度が入った眼鏡は不要で、楽と言えば楽なんだけど……。この肉体に戻る前は眼鏡を愛用してたので、物足りなさを感じていたんだよね。  ーー壊さないようにしないと……。  過去の俺が自作出来たかどうかは覚えてないけど、現在使用出来る魔法は、火、風、緑、地の4種。異世界の文字を勝手に翻訳してくれるような魔法は使用出来ないため、壊すとフェイバーに頼ることになってしまう。
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