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「それで? フレムは、なんで狙われたんか心当たりがあったりするんかいな」
「タイミング的に浄化活動とか、魔石に関することだと思うけど……。ウォームとストームは、どう考えてるの?」
「ワイは、フレムがいることで良好になりつつあるLiderとの人間関係を狙うての事と思うとったわ。ウォームから悪魔の仕業やと聞くまでわな」
「それじゃあストームは、悪魔の存在を詳しく知ってたりするの?」
「いや、さすがに噂程度や。ワイ等の世界で有名な天魔降臨戦なんか、天使と悪魔がやりあったちゅう話やしな」
「てんまこうりんせん?」
名前の響きからして戦争ぽいけど、その辺のことは全くさっぱり思い出してもいないので、オウム返しすることしか出来なかった。
「なんや知らんのか」
「セントラル・アース第一皇子の消息が分からなくなった原因の1つだよ。戦に参加してたらしいんだけど、亡骸がそもそも残らないと言われている伝説の種族でね。国を挙げての捜索は打ち切られたって話だよ」
「へぇ~」
そんな話、初耳なんですけど……。
しかもその皇子、俺の事ではなかろうか?
人型の鳳炎と初めて会った時、強い力と権力を持ってたような事を言ってたし……。
でもこんなところで確認する訳にもいかないので、話を聞いた限りの印象で話題を元に戻してしまう。
「じゃあ俺達の世界も、悪魔や天使がいない訳じゃないんだね」
「いえ。英里さんの世界で言うと、ネッシーやビックフッドのような未確認生物に会う感覚ですね。天使や悪魔は、鳥人や獣人の見間違いなんじゃないか? と言われるぐらい不確かな存在なので」
「そうなんだ」
つまり話は聞くけど、実物を見た者は殆どいないどころか。デマの可能性もある都市伝説レベルなんだろう。鳳炎のお陰で認知具合がわかった俺は、改めてメリアさんのパートナーが希有な存在だと思い知る。
「じゃあカインドを探すためには、メリアさんの協力が必要不可欠になりそうだね」
「なんでそうなるんや?」
「だって悪魔をかぎ分けられるってことは、悪魔を探し当てることも出来るんじゃないの?」
それこそ単純な話だと思うが……。
絶賛傷心中の彼女に頼むのも難しい今、何とも歯痒い状況となってしまった。
「サンダーが知ったらハゲるんとちゃうか」
「真面目な性格からして間違いないね」
「俺から何も言わない方がいい?」
「そうやな」
「とりあえず今は、朝御飯食べながら時系列でも整理しようか」
俺の閃きを聞いたストームとウォームは、肩の力を抜いてそう言うと、食堂から持ってきた料理を自由に摘まめるように配膳して。さらりと俺と鳳炎から聞いた経緯を各自メモ書きすると、スライスされたフライパン並の固いパンにポテサラをのっけたストームが本題を切り出す。
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