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「ウェイクは良き隣人として、困った時は手を貸す。そんな関係を築きながら、Liderと協力して魔石の成長を見守り続けてきたんだけど」
「恐らくLiderが出入りすることで、物資や人が動くからでしょう。いつの間にか人口が増え、今日まで発展しましたが、主がいる訳ではありません」
「つまりウェイクは、今も良き隣人として。困っているようなら手を貸し、Liderと共に魔石の見守り隊として生活してる訳ですか」
ーーはっきり言って面倒だな。
法則に縛られてる訳ではないから、実質自由に活動しても良いんだろうけど……。だからと言って配慮も無しにすると、苦情が入って人間関係悪化。今後の生活に影響が出ること間違い無し。コソコソっと、ウェイクとLiderが管理する場所で浄化活動するなら問題なさそうだけど……。
隣人が突然大規模工事始めたら、絶対気になって詮索してくるだろうし、悪い噂が流れ始めたらアウトのような気がするのは、ド田舎あるあるを英里だった世界である程度耳にしてきたからだろう。
ーー果しなく面倒臭い。
ついでに配膳された珈琲を一口飲んでみたけど、苦味しかなかった。
「それと教皇様の意向で、ウェイク殿を含め。Lider内で死石の抜き打ち検査をした結果、悪行に手を染めた者が何人も見つかり。それに加えて、発掘される鉱物が随分減ったことから、人員と物資の輸送を大幅に減らすことが決定しました」
「お陰で苦情がウェイクにいってるんだよ」
ーーあー、それで仲違いしてるのか。
やたらギスギスとした空気になる原因をようやく知った俺は、今まで聞いた話を観客的に捉えて尋ねる。
「そう言えば死石の件で、前からウェイクの施設に疑いがかかってませんでしたか?」
「はい。教皇様は、その払拭を図るための抜き打ち検査だとおっしゃっておりました」
「よくバレなかったですね」
幾ら情報漏洩に気をつけても、知らぬ間に周知されるなんてよくある話で。例え上手くいったとしても、反発が起きて大変な事になりそうなもんだけど……。レディウスは俺の突っ込みに、顔色一つ変えずに言葉を返す。
「事前に箱詰めしていた荷を後日発送するよう、新人に最初の仕事として私から直接命じたのです。恐らく此度の件で、人口の半分は開拓地に移転することでしょう」
「開拓地?」
「バックヤードに人が溢れるようになったため、数年前から第二の都市計画を進めているのですが……。急遽ウェイク殿の施設に生活拠点を置いてる者に、白羽の矢を立てたのです。Liderに繋がりのある者が多い上に、裏世界で生活出来る者であれば、開拓地でも生活が出来るはずですからな。まぁ試験的な取り組みの一貫です」
ーーとなると少し待てば、相談も無しに作業しても反感は少ないのではなかろうか。
発掘しても出荷出来ず売上にならないのなら、自分で消費するしかなくなるだろうし……。突然の事に驚いた住人の矛先は、恐らくLiderに向けられるはずだ。
ーーて言うか、教皇様。
それを見越して?ーーー
「あの、すみません。つかぬことをお伺いしても宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
「発掘した物を出荷する文化って、何時から始まって誰が言い出しっぺなんですか? ウェイクではないですよね?」
「そう、ですね。違うと思いますよ」
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