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「お前さんは今の内に休憩や」
「土産話を楽しみにしている」
けれどサンダーの発言から何やら思い出したストームは、声に出して「あ、そうや」と言った後。置き土産とばかりに、何やらテレパシーでサンダーと対話。
そこで目を丸くして驚いた反応した後、俺を見たところからして。多分カインドの部屋に引きこもっているメリアの事だろう。
「まぁ話し合ってみぃや」と、軽々しく締めくくったストームに対し、サンダーは「そうさせてもらう」と返した。
「余り力になれなくて悪いね」
「いや、有益な情報に感謝する」
ウォームの謝罪に対し、サンダーは礼を口にした後、ジッと様子を伺っていた俺に向けて微笑んでくれた。
--少しは希望を持てたのだろうか?
掛ける言葉が思い付かなくて、控えめに微笑み返す事しか出来なかったけど……。
サンダーは、俺達が飛び立つまで見送ってくれた。
「あっ、そうそう。忘れない内に言っとくけど……。時間が出来たら相手して欲しいって、サンダーが言ってたよ。一対一で」
「一対一で?」
それならテレパシーでも良いから、直接言ってくれれば……。と思ったものの。俺のテレパシーは自慢出来る程有能じゃない。
「ウォーム。それ、何時の話?」
「別れ際だよ。フレムに直接言えばいいのに、どうせ僕に相談するだろうからって」
--確かに。
結構好き勝手させてもらっているが、俺は見習い身分で。今のところウォームが保護者のようなものだ。遊びに誘われても、ウォームに相談無しで外出は出来ないだろう。
「守護竜込みでならいいよ」
「それは言っといたよ」
「有難う♪ だけど一対一って……」
「恐らくカインドの事か。悪魔に関わる事やろ。どのみちワイ等に横やりを入れてほしくない話題のはずや。慎重な性格だから、アホな真似はせんと思うけどな」
--と、これは用を済ませて旅客席へと移動してきたストームだ。俺の真向かいに座るウォームの傍に歩み寄ると、「物知りなフレムの協力を得たいんやろ」と発言を加える。
__てか、物知りって。
調べさえすれば、分かる範囲の事しか知らないはずだけど……。意外と英里だった頃に得た知識が役に立ってるようで嬉しい。
「問題は、この世界にフレムの言うような悪魔王が実在してるかどうかだね」
「ぶっちゃけどうなんや? フレム。心当たりあるんか?」
「いや、まぁ……」
(無いとは言いきれないけどさ)
すると皆一斉に俺を見て、ストームが(あるんかい)とテレパシーで突っ込みを入れてきたけど……。俺はちゃんと教えたはずだ。
ウェイクが管理している地下層に何かがいると__。
(て言うか。地下層に神様がいるかもしれないから、施設の活動に反対してる人達がいるんだよね?)
そこでようやく俺が言う心当たりに気が付いた三人は、顔色を悪くして沈黙した。
どうやら彼等は、単なる噂レベルの認識だったようである。
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