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「どうしてそう思うか、言った方が良い?」
「ワイは遠慮しとくわ。それでフレムの命が狙われた理由が分かったさかい」
「僕もそこまで馬鹿じゃないよ」
(それでも御主人は、あの土地を浄化する御予定なのですね?)
(でなきゃ、もっとマズイ事になると思うけど……。もしかして、すでに逃げる算段でもついてるの?)
俺と鳳炎は、多分WPに帰る意思を伝えれば、何とでもなるんだろうけど……。そんな危機管理をしてる余裕なんて見るからになかったウォームとストームは、俺のテレパシーに対して(まさか)と口を揃えるようにテレパシーで応えた。
(て言うか、もしかしてあれか? ウェイクの土地から住民を逃がすつもりで、フレムは教皇の意見に賛同しとるんか?)
(まぁ何が起こるか分からないし、そうじゃなくてもアスタルトがいるから……。作業してたら、何かしら言われると思うよ。蜂の巣をつっつくようなもんだし……)
(そ、それもそうやな)
大体住民がいて発展途上してるとは言え、住める土地は限られてるはずだ。ストームの質問に答えると、その場にいた三人は、俺達がやろうとしてるイメージを膨らませて納得した。
(だけどWPになんて説明する気なの?)
(そこは分かっている事だけを伝えるつもりだよ。俺が見たものが悪魔だったのか、神様だったのか。実際のところよく分からないし、この世界には必要なことかもしれないからさ)
俺が俯き様にウォームの問いに答えると、ウォームの傍に立っていたストームが、納得した様子で口に出す。
「なるほど。そう言えばワイ等、長いこと居座っとって麻痺っとるけど。この世界の事をよぉ知らん余所者でしかないんは、余り変わらへんようやな」
そして、ようやくウォームの隣に腰を下ろしたストームは、前に誰も座ってないことから足を組み。彼にとって楽な姿勢をとってから言葉を続ける。
「ワイ等にとって悪やと思うとるヤツが、この世界に必要不可欠なモノの可能性も考えなあかん」
(現に魔石は此の世界に無いもので、WPは危惧しているようですが……。そもそも此の世界には異世界貿易があって、此の世界に無いものを取り入れることで発展しているのでしょう)
「安易に〔此の世界の文化や考え方に影響を及ぼすから危ない〕とは、言い切れないはずなんだよね」
鳳炎の発言に続き、ウォームが思っている事を言うと、途端に不思議に思うのはWPの考え方と価値観である。危険視する理由は分かるけど、物事がどう転んでも実害がない気がするのは、まだ知らない事があるからだろうか?
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