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(御主人、大丈夫ですか?)
(うん)
あれから、俺の意識は何処かにいったかのように呆けていた。ーー否。移動中の今でも他人の話を録に聞いてないのかもしれない。
ドラゴンには寛容な彼女の長所を漬け込んで、鳳炎がセレナの証言を掘り下げて聞いてくれたけど……。神様の容姿は知らない。何処にいるのかと聞けば、施設の所為で分からないときたもんだ。
ーーそんなあやふやな情報で、
よく信じられたもんだなーー
案外彼女にとってバアルという存在は、明確な善悪を決めるための材料に過ぎないのかもしれない。
「セレナさんと行動を共にしてた人達も、バアルの信者さんだったりするのかな?」
「どうやろな?」
「いても少数派だと思うけどね」
「今まで聞いたことあらへんかったからな」
俺の質問に首を傾げたストームは、顎に手を添えて発言したウォームの意見に同調。
今までLiderを親しく情報交換していたとは思えないけど、墓の文化は無く。神に見放されたとも思えるような絵本の存在が、どうにも頭から離れなかった。
「Liderに聞いてみようか?」
「それなら報告として。セレナさんがこんなこと言ってるんけど、そそのかされたんじゃないか? て伝えたら、Liderの人が証言とってくれないかな?」
すると突然、前を歩いてたストームが足を止めて「それや!」と振り向き様に言うと、「後は任せときぃや」と俺達に親指を立てて走り去ってしまった。
ーー大丈夫かな?
俺に提案したのは、横を歩いてたウォームのはずなんだけども……。
俺が呆気にとられていると、やれやれと呆れたリアクションをしたウォームが、「先に搭乗しとこうか」と言って前を歩き出した。
「いいの? 任せちゃって」
「元々ストームの仕事だからね。それに悪い虫が彼女に付いてからというもの、随分気にしてたみたいだからね。お面を返上したいんじゃないかな?」
ーーわぉ♪
それは、ちょっと甘酸っぱい恋心を期待してしまいそうなお話だけど……。
彼女の第一声を思い出してほしい。
どう考えても仲が良いとは、思えないのですが……。
「あの、じゃあ裏切り者って言うのは?」
「多分ストームが、そのお婆さんから知り得た事を逆に利用して。悪いことをしてると思ってるからじゃないかな。フレンドリーな性格だから、人伝に聞いた情報量が半端ないんだよ。僕より顔が広いんじゃないかな」
「そうなんだ。ウォームは、そのお婆さんと面識はないの?」
「いや。二三回程会ったことがあるけど、挨拶する程度の関係かな。僕はストームと違って繊細だからね」
「へー」
冗談のつもりなら、もう少しおどけて言ってほしいもんだけど……。嘘つけと言わんばかりの相槌で返してやると、彼は「酷いな」と言って小さく笑った。
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