第61話/厳重な引き渡し対象は俺です

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「ほんじゃあ、尚更何が有益な情報なのか。フレム自身、分からへんのやな?」 「そうなりますね。あくまで空想の領域なので、作り話が現実に起きようとしていること事態。今の御主人からすると、恐怖でしかないと思います」  すると顎に左手を添えたストームは、今までの事を振り返って鳳炎の話を吟味しているのか。間を置いて、相手の様子を伺う俺と目が合ってから言葉を返す。 「まぁフレムの根拠があらへん言う理由が、何となく分かった気ぃするわ。どうやら質問の仕方を変えなきゃアカンようやな」 「質問の仕方を?」 「そうや。どうすれば、根拠があると言えるようになるか。何となく分かっとるんとちゃうか?」  オウム返しする俺に、右手の人差し指を立てたたストームは前向きに提案。だけど、今一つピンとこなかった俺が首を傾げて見せると、ストームは根気強く例を出してみせる。 「例えば、アスタルトの襲撃のタイミングや。何が明確に分かれば、人に教える気になるんや?」 「……そうだなぁ……。アスタルトがアナトになる可能性があるのだとしたら、俺が考えているタイミングで襲撃されると思う」  今度は俺が顎に手を添え、考えられる可能性を言うだけ言ってみた。無論、それが根拠に繋がる理由がある。 「なんでそう思うんや?」 「アスタルトとアナトの同一視説があるから、アスタルトがアナトに。もしくはアナトがアスタルトになる可能性もあるんじゃないかと思って」 「ほんで?」 「もし立証に成功したら?」 「え? あ、そうだなぁ……。バアルが死んだタイミングで、気性が荒くなるんじゃないかと……」  確かな事は言えない予想であるが、まんまとストームに続いて質問してきたウォームに乗せられて答えると、二人はしてやったりとばかりに不敵な笑みを浮かべた。 「えぇこと聞いたわ」 「調べてみる価値がありそうだね」 「し、調べられるの?」  アスタルトの研究者は珍しく。此の世界の住人ではない、エレクぐらいしか当てがないと思っていたのだけど……。思い当たる人物がいるのか、ストームとウォームは意気揚々と言ってのける。 「ワイ等をなんやと思うとるんや」 「伊達に長居はしてないよ。そこまで研究してる人はいないかもしれないけど、目撃情報でもあればいいんだよね?」 「うん」 「それなら職業柄、アスタルトやアナトに接点のある人達に聞けば分かると思うよ」 「任せときぃや♪」  ウォームに続いて、ストームが親指を立ててウインク。相当の自信があるようだ。  個人的には、考え過ぎだったというオチが欲しいところなんだけど……。何故英里として生きていた情報が有効なのか。不思議に思うところはあった。 * * * * *
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