第61話/厳重な引き渡し対象は俺です

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「お待ちしておりました!」  あれから爆睡して、どのくらい時間が経過したのか分からないけど……。輸送機から降り立つ俺の姿を見るや否や、ルシウェルの敬礼と共に数人の部下がそろって敬礼した。  ーー総理とかになった覚えないけどな。  悪い気はしないにしても、俺はウォームやストームに比べて弱い立場だから。複雑な表情を浮かべて二人の様子を伺うと、周囲の態度に気にも止めない様子で話を進められる。 「また世話になるで」 「フレムをWPに送り届けてから、グレイの自宅に向かう予定でいるんだけど」 「畏まりました。ご案内いたします」  それを聞いて、俺は「よろしくお願いします」とペコリと頭を下げると、彼女は「お任せ下さいませ」と優しく微笑んでからリムジンのような高級車まで案内してくれた。  それも数台の護衛車付きである。 (待遇が凄すぎる気も……) (フレムの命が狙われたからやろ) (許可を得るために経緯を説明したからね) (そうなんだ)  それとなくテレパシーで率直な気持ちを呟くと、ストームとウォームから事情を聞いた事で安堵する。どうやら俺を心配しての心遣いであって、祭り上げようと考えのことではなさそうだ。 「あ、鳳炎に口輪(くちわ)しなくてもいいの?」 「問題ありません。フレム様の守護者として特別でございます」  車内に乗り込む前に思い出して尋ねると、ルシウェルが執事ばりの態度で返答。  ーーPV対応ってやつなんだろうか?  研修の時と比べて、堅苦しい雰囲気なんだけど……。ストームが軽々しく「そう言うこっちゃ」と言って、俺の肩に両手を乗せると「はよ乗車しぃや」と促された。 「今回フレムは、国賓(こくひん)として招待されているんだよ」 「へ?」  首相クラスの人が海外に来日すると、特別な客人としてニュースで耳にするけど……。  そこまで偉くなった覚えがなかい俺は、乗車したところで発言したウォームの言葉に、目が点になった。 「それだけフレムを評価しとるんや。フレムがいてくれとるけぇ、今の関係が築けとるんやからな」 「でも……」 (見習い、だよね?)  ルシウェルは助手席に乗ったので、後部座席と言う名の旅客スペースには、俺とドラゴンの鳳炎。ストーム、ウォームの四人?   ーー正しくは、三人と1頭だけど……。  都合の悪い言葉なんじゃないかと思って、テレパシーで質問した。  するとストームが、(ワイ等の役職で言うとな)とテレパシーで返した後、ウォームが声に出して説明する。
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