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「戸惑う気持ちは分かるけど、教皇様の指示は絶対。一般と比べて、国賓の方が<教皇様の客人>として特別待遇が許されるんだ」
「つまり、道理を通すのに都合が良かったんとちゃうか? フレムの場合、一発ひっかかってしもうてるし、魔法もあっちこっちで使用しるやろ? 国賓扱いにせんと、顔パスなんて出来んかったんやないか?」
ーーそれもそうか。
実際死石を持っていなくても、探知にひっかかって迷惑をかけてしまったし……。
誰より魔法をオープンに使用していることから、危険視されても可笑しくない。
「心当たり有りすぎて泣ける」
「結果オーライやろ?」
「むしろフレムは、自分の存在を過小評価し過ぎないようにね」
「ホンマやで。発言力の強さは、フレムがトップクラスなんやからな」
ーー嘘だぁ。
絶対俺の発言を利用して、上手く話を丸め込めてるだけだと思うんだけど……。
ウォームが困った様子で俺に尋ねる。
「信じてないね?」
「嘘も方便とか言うし」
「お世辞とちゃうわ」
真に受けまいとする俺の姿勢に、ストームが即座に突っ込みを入れるけど、やっぱり負に落ちないというか。納得いかない。
そもそも此の世界に来て、まだ1ヶ月ぐらいしか経ってないのだ。俺としては、可笑しいとは思わない方が不思議である。
「責任を負うのが怖いんか?」
「怖いよ」
ストームとしては、否定してほしい質問だったのかもしれないけど……。自分のことで精一杯なのに、他人の事まで責任を負う覚悟は出来なかった。
「この世界をよく知りもしない人間が、口を出す問題じゃない。て、しばかれるのが普通だと思うんだけど……」
「それだけ状況が切羽詰まっているんだよ」
「せやけど、それを突き動かしとんのは、紛れもなくフレムや。その自覚を持っとらんと、WPに利用されるだけやで?」
「ーー気を付けるよ」
ウォームに続いて発言したストームの言葉でら、忠告も兼ねて言っているのだと気付いた俺は、一旦己の気持ちを抑えて答えた。
「ホンマかいな?」
「無茶だと思ったら、それ相応のお返しをおねだりすればいいんだよね?」
「いや、そう言う訳じゃぁ……」
しかし、此処でキッパリ断るよう指示してしまうと、再びWPの関係が悪くなると察してか。頭を抱えだしたウォームに代わって、ストームが「まぁ程々に頼むわ」と締めくくった。
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