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ところが、彼の話には続きがあった。
俺の反応を見て、誤解を生んだと察したムグルが説明を加える。
「でもウォーム君より年上なだけで、ボクは君の守護竜より年下だよ」
ーーマジか。
つまり鳳炎より年上の俺は、ムグルより年増確定という事である。
「そんなに落ち込むこと?」
「だって自覚がないのに、ジジィと言われてるようなもんですよ」
年齢的には、多分転生レベルだけど……。
気持ちは十代のままなので、若作りとしか思われなさそうで辛い。
「フレム君より年上となると、うちの副上司に当たるかな」
「アリアス上司は違うんですか?」
「彼はボク等の元後輩だからね。フレム君が見つかって、彼も喜んでいるんだよ。記憶のことがあるから慎んでるけどね」
「そうなんですか。でもWPのお偉いさんを呼び捨てにする勇気はないです」
それもかなり偉い立場だと認識しているので、頼まれても困ると思った。
するとムグルは、小さく笑って「大丈夫」と前置きしてから教えてくれる。
「昔から彼のことは、アリアス上司と呼んでたから。違和感は無いはずだよ」
「それなら良かったです」
「記憶がないと、そこら辺気を遣って大変だね。居るべき世界に戻ったら、暫くは実家で過ごした方がいいかも……。まぁそれでも、立場上気を遣いそうだけどね」
「ーーそれ、どういう意味ですか?」
この時、俺は当初鳳炎に教えてもらっていた事を忘れていた。英里として生きてきた記憶の方が色濃く残っているのだから、仕方の無い事かもしれないけど……。
首を傾げて尋ねてみると、ムグルは困った表情を浮かべながらも教えてくれる。
「君は、セントラル・アースの第一皇子だからね」
【完/厳重な引き渡し対象は俺です】
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