第61話/厳重な引き渡し対象は俺です

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 ところが、彼の話には続きがあった。  俺の反応を見て、誤解を生んだと察したムグルが説明を加える。 「でもウォーム君より年上なだけで、ボクは君の守護竜より年下だよ」  ーーマジか。  つまり鳳炎より年上の俺は、ムグルより年増確定という事である。 「そんなに落ち込むこと?」 「だって自覚がないのに、ジジィと言われてるようなもんですよ」  年齢的には、多分転生レベルだけど……。  気持ちは十代のままなので、若作りとしか思われなさそうで辛い。 「フレム君より年上となると、うちの副上司に当たるかな」 「アリアス上司は違うんですか?」 「彼はボク等の元後輩だからね。フレム君が見つかって、彼も喜んでいるんだよ。記憶のことがあるから(つつし)んでるけどね」 「そうなんですか。でもWPのお偉いさんを呼び捨てにする勇気はないです」  それもかなり偉い立場だと認識しているので、頼まれても困ると思った。  するとムグルは、小さく笑って「大丈夫」と前置きしてから教えてくれる。 「昔から彼のことは、アリアスと呼んでたから。違和感は無いはずだよ」 「それなら良かったです」 「記憶がないと、そこら辺気を遣って大変だね。居るべき世界に戻ったら、暫くは実家で過ごした方がいいかも……。まぁそれでも、立場上気を遣いそうだけどね」 「ーーそれ、どういう意味ですか?」  この時、俺は当初鳳炎に教えてもらっていた事を忘れていた。英里として生きてきた記憶の方が色濃く残っているのだから、仕方の無い事かもしれないけど……。  首を傾げて尋ねてみると、ムグルは困った表情を浮かべながらも教えてくれる。 「君は、セントラル・アースの第一皇子だからね」 【完/厳重な引き渡し対象は俺です】
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