28人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんな事、部外者に漏らしていいんですか?」
「ボクとしては、単なる愚痴のつもりでいるからね。それに時空警察と言われる、WTPOの動きには注視してほしいんだよ」
「何かあったのですか?」
俺はもう警察官じゃないので、踏み込んで聞いて良い話とは思わないけど……。
鳳炎が深掘りすると、ムグルは深刻な表情で「それが……」と少し前置きして答える。
「どうも魔石に執着しすぎて、本来の目的を忘れているようなんだ。近い内、引き上げ要請んするつもりでいるんだけど……。それを快く思ってない人達が少なからずいるもんだから、ちょっとね……。君達が襲われたと聞いた時は、仲間内が何かしたんじゃないかと思ったぐらいだよ」
「それじゃあ、悪魔を名乗る人に襲われたっていう話は」
「聞いてるよ。それで見てほしい物があるから、食事の後にでも確認してくれるかな?」
「あっ。もしかして、俺がアリアス上司に頼んだものですか?」
「そうだよ。それに皆から箇条書きで質問を預かってきてるから、分かる範囲で教えてくれるかな?」
「それはかまいませんけど……。口答で大丈夫ですか?」
余計な荷物は怪しまれると思って、貴重品ぐらいしか持ってきてない俺は、紙に箇条書きする程の質問があると知って確認。
するとムグルは、俺の横で食事をとっている鳳炎にアイコンタクトを行いーー。
「後片付けの事なら、私にお任せ下さい」
「助かるよ」
立場に違いはあっても、仲は良いようで。機転を利かせた鳳炎は、嫌な顔ひとつせず、食事が終わると手際よく片付けを始めた。
「さて、まずは本部に連絡をとって。君の証言を確認してみようかな」
「俺の?」
「WPで出来た繋がりなら、WPで調べが付くはずだし……。月の民でフルネームが分かってるなら、特定もそう難しくないと思うしね」
そこで固定電話の受話器を上げて、ボタンをワンプッシュしたムグルは、然程待つこと無く。俺が見てるの前で、堂々と誰かと連絡を取り始める。
「あ、すみません。ムグルですけど……。フェリアス君、そこにいますか?」
相手の声は聞こえないが、ムグルが俺の証言を確認するために、フェリアスという人物を頼るようだ。俺が興味深く耳を澄ませていると、どうやら俺が当時働いていた記録が残っているようで。フェリアスという人物に検索を依頼すると、3分もしない内ムグルが黙って様子を窺っている俺に質問する。
「フレム君、パスワード覚えてない?」
「へ?」
「四桁で、共通文字の他に数字も使えるんだけどさ」
いやいやいやいや。
ーー覚えてる訳ないじゃん!!
ムグルの表情からして、ダメ元で聞いているんだろうけど……。首を横に振ってみせると、受話器片手に「適当でいいから」と言われて考える他なくなる。
最初のコメントを投稿しよう!