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「フレム君が想像豊かで助かるよ」
「基本的にマイナス思考なだけですよ」
それも夢物語だと思っていたファンタジーな世界だ。何が起きても不思議ではないし、自分の常識が通用しないとなると、今までの最低限のリスクが日常茶飯事レベルと考えた方が良い。
「じゃあアリアス上司に求めた代物も、マイナス思考から?」
「まぁそうなりますね。俺の考え過ぎだといいんですが……」
けどムグルは、「良い勘してるよ」と言って席を立つと、続けて「見てくれた方が早いかもね」と告げ。引き戸で部屋をしきっていた和室から紙袋を取ってくると、食器が片付いた食卓テーブルに地図を広げて見せた。
「赤い丸印が施設、黒いバツ印が魔石の位置を示してる地図だよ」
ーーマジかよ。
一目で分かるぐらいだから、俺の固定概念かもしれないけど……。丸型印は、1つを除いて黒いバツ印とセットで描かれており。線で繋げると、綺麗な五角形になることから五芒星が描かれると瞬時にイメージ出来た。
つまり問題視されているのは、デビルスターと言われる逆五芒星の可能性があるからだろう。一般的に正位置は、上向きと呼ばれる。1角が上を向くように描く方法で、方位は示されていない。
ーーでも惑星規模で考えたら?
北に2角上を向いているのだから、逆向きと思われても不思議ではないだろう。
「反応からして問題に気付いたようだね」
「でも」
「分かってる。この世界に方位があるかは定かじゃないし、上下を逆向きにして悪の象徴にすることはあっても、ボク等の世界に悪魔はいないからね。君達は、どこで悪魔という存在を知って。どうして危険なのか、報告書をまとめる義務がある。と上の立場に命じられてたWTPOは、詰んでるらしいよ」
「つまり悪魔というモノを知らないまま、問題視されてる、って事ですか?」
「そう言うことになるね。御薙くん達の話によると、魔族とは違うみたいだし……。魔族が魔族を召喚しようとしているとしても、喚べるのは使役出来る範囲だろうから。ボク等で十分対処出来ると思うけどね」
ーーすげぇ自信だな。
それだけムグル達は強いってことなんだろうけど……。強気で発言しといて、報告を求められると詰まってしまうWTPOの様子に疑問を感じるのは、致し方がないと思った。
「それと死神/キアについて、何か知ってる事があれば教えてほしいんだ」
「どうしてですか?」
むしろ俺の方が教えてほしいんだけど、全く情報を持ち合わせてない訳じゃない。
今でも俺は、いつ鉢合わせても良いように拾った物をズボンのポケットに忍ばせているし、WPPOには報告してない事もある。
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