第34話/新たな道筋

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 ーーそれにしても誰から聞いたんだろう?  グレイ? ウォーム??  口の軽さとしたら、ストームぽいけど……。  俺とまともに会話したのは、健康診断が延期となったウォームの施設での出来事に加えて、今回入院していた病院先での2回。しかも読み書きに不便してる話題なんて出した覚えが無いのに不思議なもんだ。  ーー今度聞いてみるか。  俺はそんな事を考えながら二階の寝室を出て、吹き抜けから一階の様子を伺いながらリビング・スペースに下りると、夕食時と同じ配膳でウェイクが居ないことに気付いた。 「あれ? ウェイクは?」 「さすがに眠気が勝って爆睡中だよ」  そう言ってウォームは、覗きを薦めるように一階にあるウェイクの書斎を指差した。 「あそこって、寝るとこあるの?」 「見てみれば分かるよ」  そうウォームに促され、こっそりドアを開けて隙間から覗いてみれば、まるでかまくらのような形状のものが部屋の奥に出来ていた。  ーーつぅか、あれは本か?  器用に魔法を使用しているようだが、あれでは冬眠する熊の穴ぐらである。 「見送る気無しだね。フレムの代わりに、ウェイクが詳細を明かしてくれたから」 「だけど俺なんかより先に、ウェイクが二人に相談してたんじゃないの?」  ウェイクから直接聞いた訳じゃないけど、ウォームの言い方に疑問を感じた俺が質問したところ、突如空気が重たくなった。 「まぁ別に咎めるつもりないけど……。ウェイクの口が悪い理由が分かったような気がするよ」  俺は、書斎のドアを閉めると思った事を言った。  恐らくウェイクは、ウォームとストームに対して嫌悪感を抱いているんだろう。 「それでフレムはどうするんや?」 「どうもしないよ。何があったのか知らないけど、その件については味方になるつもりは無いから」 「それはウェイクの味方にも?」  ストームの質問に答えた考えを読み解こうと思ってか、ウォームがテーブルに歩み寄って来た俺に問うてきた。勿論、その答えは<Yes>だけど……。 「真相を知らないのに敵も味方も無いだろ?」  俺は、揉め事を避けるために尤もな意見を返すだけに留めた。話を聞いたところで、言った言わなかった的な事になりそうだし、二人にとっても余り振り返したくない話題のようだ。
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