第64話/最強にして最弱でした

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「この世界の知識と人脈が主な要因だよ。おまけに研修生が割り占めてるから、舐められてる部分があるんだよね。まぁフレム君のお陰で、随分意見が通るようになったけど」 「でも余り俺を()し過ぎると、公平に欠けるとか言われたりしない?」  Liderと同じように、高く評価してくれるのは嬉しけど……。俺が勝手に思い描く警察のイメージから尋ねてみると、ムグルは小さく笑って答える。 「その辺の事は大丈夫だよ。さすがに図星だと思ったことぐらいしか採用してないし、勝手な行動が目立つようになってきたからね。近々ボク等WPPOを残して、WTPOはこの世界から撤退するはずだよ」 「そうなんですか?」 「先日、許可なくストームさんが管理している施設周辺を偵察していたWTPOに対し、スフォームさんが直接注意した上で、ボク等に遺憾を表明してきたんだよ。WTPOとしては、揚げ足を取ろうとしたんだろうけどね。仕事柄、よく施設を空ける人でしょ?」 「うん、まぁそうだね」  まだ付き合いは短いけど、アクティブに動き回っているし、安全な着陸を実現するために魔法使ってるから。どうしても他の守護者より施設を空ける機会が多いのだろう。 「それが安全上、問題があると訴えたかったんだろうけど……。代役を務めてたのがスフォームさんだったこともあって、即行でボク等の耳に入ったんだよ」  ーー御愁傷様です。  恐らく大目に見ていたストームが、代役を勤めるスフォームに報告していたんだろう。  施設としては、一度忠告してるし……。  さすがに自業自得だと思った。 「じゃあ、それが決めてで?」 「うんまぁ、今すぐじゃないと思うけどね。彼らにも、それなりの実績はあるから」  ーーですよね。  曲りなりも世界を跨ぐ警察組織の一員だ。  スフォーム達が悪事をしているなら、秘密裏(ひみつり)に証拠を集める必要もあるだろうし、引き継ぎの問題もあるだろう。  どう考えても今直ぐにはなりそうにない。 「因みにフレム君の方は、担当がWPPOになったことで、何か変わったことがあったりする?」 「変わったことですか?」  WTPOと直接話したことは無いので、余り実感は無いけど……。俺はオウム返しした後、「ん~」頭を捻って率直に答える。 「対応が良いとかで、ストームの機嫌が前より良くなったぐらいですかね」 「えっ、そんなもんなの?」 「そんなもんですよ。まさかとは思いますけど、俺の指示で皆が動いてるとか思ってませんよね?」  発言力が増すにつれて、何時(いつ)か誰かに誤解されそうだとは思ってたけど……。  俺の質問に「えっ、違うの?」と本気で聞き返してきたムグルに、真顔で「違うよ」と突っ込みを入れた。
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