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「ですが、当時のWPの評判は最悪でした。今が最良のタイミングだと思いますよ」
「分かってるよ。フレム君の命を狙った人物は、魔法使い。魔法を使えないLiderから兎や角言われる事は無いだろうしね」
「あれ? 魔法使いって聞いたんですか?」
自称でも悪魔と言ってた相手なのに……。
鳳炎の後に発言したムグルの話を聞いて尋ねてみると、彼は「いや」と否定して答える。
「ボクが悪魔を信じてないだけだよ」
ーーさいですか。
俺も悪魔らしい悪魔は見たことないので、絶対いるとか言えない立場だけど……。
爽やかに全否定されるとは思わなかった。
「でも龍碑と竜祈を加わえて、鳳炎が傍にいながら、フレム君の首が危うくなるとはね。相手の扱いに戸惑ったとは言え、ゆゆしき事態だよ。一刻も早く、フレム君には最低限の身の守り方を習得してもらわないとね」
「申し訳ありません、御主人」
「いや、鳳炎はまだ全快してないよね?」
今は人型を保っているけど、訳あっての事だろうし……。恐らくウィズドゥレットを相手にした後、休む間も無く異世界に滞在する事になって気が休めないはずた。
「それにフレム君が戦闘不馴れで、正確な指示が出せなかったから。事態が飲み込めないまま参戦した龍碑と竜祈は、本気を出せなかったみたいだよ」
ーーですよね。
俺の迷いを察して、相手を本気で傷付けるような戦法をとらなかった事から逃がしてしまった感が否めないし……。もっと俺がしっかりしていれば、相手を制してカインドの居場所を特定出来たかもしれない。
「まぁ直接指示が出来なかったのですから、無理もありません。安定した意志疎通には、時間と経験が必要ですからね」
「そう言えば、積極的に相手の波長と合わせようとする鳳炎とは違って。龍碑と竜祈は、相手に合わせてもらうタイプだったね」
ーーそうなんだ。
よく覚えてはいないけど、鳳炎とは初日からテレパシーでの会話が出来た。
それが鳳炎のお陰だとすれば、俺はようやく自力でテレパシーを活用出来るようになったからこそ。ウォーム達と意志疎通が出来るようになったと言うことになる。
ーー何だろう……。
このレベルの差は……ーー
やっと魔法を習得したレベル10程の勇者に対して、レベルMAXでありながら、訳あってHRとMPが半分となってしまった賢者様を連れ歩いてる気持ちになった。
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