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「こうなったら、連絡を待つしかないね」
「何処で襲われたの? グレイ」
「襲われたっていうか。突然Liderらしき人物に自宅の前を包囲されて……。ウォーム様がルシウェルさんを呼んだぐらいだけどね」
「ルシウェルさんって、フレム君を送迎してくれた?」
けどグレイは、俺の質問には答えてもムグルの質問には口を固く閉ざしてしまった。
口止めされてると言うより、全面的にWPを信頼していないようにも思える。
でもグレイの言うルシウェルが、何度か世話になってるLiderのルシウェルの事なら、直ぐにレディウスへ連絡がいくはずだ。
それなのに、グレイをWPに預けた方が安全だと判断したのなら……。最悪Lider同士の問題に巻き込まれた可能性を考えるべきかもしれない。
「とりあえず、ムグル。自己紹介もせずに質問攻めは失礼だと思うよ」
「え゛っ」
恐らく代表会議で顔を会わせてるから、お互い顔ぐらい知っているだろうけど……。
時の間を出てから、小型ドラゴンへと姿を変えて俺の肩を陣取る鳳炎が強く頷いてるところからして正しい指摘だったようだ。
ムグルは頭に右手を添えて、軽い口調だが申し訳なさそうに謝罪から入る。
「あー、ごめんごめん。代表会議で見たことあるから、知ってるのかと思ったよ」
「WPPOの現場責任者兼指導を勤めてる、偉い人なんだってさ」
「え、偉くはないよ。ボクの名前は、ムグル=カイングスター。レディウスさんやウォームさんと同じ、上司と部下に挟まれてる中間管理職だよ」
「……十分偉いと思います」
「だよね。グレイは、元清掃員なんだよ」
「そうなんだね。てっきりLiderの関係者かと思ったよ」
するとグレイは、複雑な表情を浮かべて苦笑いを溢した。俺は、彼の職業からLider関係者とは思いもしなかったけど……。
(そう言えば、やたらレディウスさんの耳に情報が入るの早いよね?)
(そうですね)
けど確証はないので、テレパシーは鳳炎止まりにしといて。疑いを悟られたくなかった俺は、グレイの紹介を続ける。
「両立が難しくなって、急遽俺の専属になってもらったんたけど……。俺の命が狙われた事もあって、解任する事になったんだよね」
「そ、そうなの?!」
「あれ? ウォームから何も聞いてないの?」
驚いて席を立ったグレイに、悪気はないとばかりに確認すると、「初耳だよ!」と声を荒げてから物申す。
「そんな場合じゃなかったし、フレムが危ない目に合うのは、今に始まった事じゃないじゃないか!」
「そ、それはそうだけどさ」
グレイが誰の差し金であれ、最悪な事態を回避したかった俺は返答に悩んだ。
魔法が使えても、まともに戦闘出来ない立場は一緒だし……。精神的には、一緒に行動してくれた方が心強かったりする。
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