第65話/最強故の最凶論

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「まぁこれからの事は、柔軟に考えていくしかないよ。立場の違いもあるけど、フレム君とは抱える問題や目的も違うだろうからね」 「という事は、フレム君をWP側に引き込むのは諦めたの?」 「今はね。それにフレム君のお陰で、施設関係者との繋がりが保てているんだ。彼の同意も無しに施設から離すと、とんだ竹箆(しっぺ)返しを食らいそうだよ」  ムグルは、お手上げとばかりに両手を上げると、その様子を見ていたグレイに愛想良い営業スマイルをしてみせた。 「じゃあ残る問題はLiderって事かしら?」 「そうなるね。あんまり深入りしたくないんだけど、フレム君を巻き込むつもりなら黙って見てる訳にもいかないし……」 「でも、ガード硬いんでしょ?」  と、此処で突っ込みを入れたのは俺だ。  施設と関係が悪かったWPが、易々とLiderの懐に入れるとは思えないし、世話になってるグレイの危険を傍観するつもりはない。 「今回の件、俺も黙ってるつもりないから」 「そう言うと思ったよ」 「案外Liderの方が焦ってたりしてね」  俺の宣戦布告に、レナとムグルが他人事のように笑ってみせるが、俺は結構本気だ。  Liderとの関係を失ったとしても、余りマイナス要素なんてなさそうだし__。  グレイは、この世界で初めての友達だ。  出来る限りの事はしてあげたいとは思うのは、自然のことである。 「ありがとう、フレム」 「大袈裟だな~」  大体まだ何かした訳でもないのに、グレイは大層嬉しそうに微笑んだ。 【完/最強故の最凶論】
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