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「まぁこれからの事は、柔軟に考えていくしかないよ。立場の違いもあるけど、フレム君とは抱える問題や目的も違うだろうからね」
「という事は、フレム君をWP側に引き込むのは諦めたの?」
「今はね。それにフレム君のお陰で、施設関係者との繋がりが保てているんだ。彼の同意も無しに施設から離すと、とんだ竹箆返しを食らいそうだよ」
ムグルは、お手上げとばかりに両手を上げると、その様子を見ていたグレイに愛想良い営業スマイルをしてみせた。
「じゃあ残る問題はLiderって事かしら?」
「そうなるね。あんまり深入りしたくないんだけど、フレム君を巻き込むつもりなら黙って見てる訳にもいかないし……」
「でも、ガード硬いんでしょ?」
と、此処で突っ込みを入れたのは俺だ。
施設と関係が悪かったWPが、易々とLiderの懐に入れるとは思えないし、世話になってるグレイの危険を傍観するつもりはない。
「今回の件、俺も黙ってるつもりないから」
「そう言うと思ったよ」
「案外Liderの方が焦ってたりしてね」
俺の宣戦布告に、レナとムグルが他人事のように笑ってみせるが、俺は結構本気だ。
Liderとの関係を失ったとしても、余りマイナス要素なんてなさそうだし__。
グレイは、この世界で初めての友達だ。
出来る限りの事はしてあげたいとは思うのは、自然のことである。
「ありがとう、フレム」
「大袈裟だな~」
大体まだ何かした訳でもないのに、グレイは大層嬉しそうに微笑んだ。
【完/最強故の最凶論】
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