第34話/新たな道筋

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「教えてくれたら、もっと作ったのにな」 「大丈夫だよ。朝はあんま食べれない方だから」  そうは言っても、パンより先にポテトサラダを完食してしまった俺は、次に目玉焼きを食しながらパンの完食を目指す。 「他にも身近な家庭料理で好きなもんあるんか?」 「好きなもん? そうだなぁ~。今食卓に並んでるモノで言えばウインナーだけど……。そう言えば、この世界に魚料理は無いの?」  もし俺が気を失ってる最中に、魚料理が出てきたのなら残念なことだけど……。今のところ魚をメインにした料理を見た事が無いので尋ねて見ると、この世界の事情を知っている三人は苦笑を溢した。 「ウォーターの養殖計画が波に乗れば、何時でも魚を食べることが出来るんだけどねぇ」 「ちぃとまだ難しいやろうな」 「聞けば、施設事態まだ未完成だそうですね」 「そうなんだ」  ウォームの話を聞く限り、魚を養殖する技術は知っているようだが、その技術をフル活用出来る程の設備はまだ整っていないようである。  しかもストームに続いてグレイのコメントからして、他の施設と比べて随分遅れをとってるようだ。 「着工そのものが遅かったのもあるんだけどね。一番アスタロスやアナトの影響を受ける湖に面した場所だから工事が進まないんだよ」 「せやけど、市場に出回っとらんだけで養殖事態はしとるんやで。殆ど青魚で、タイやヒラメは居らへんけどな」 「じゃあサバはいるの?」  ウォームに続いてストームの話を聞いた俺は、目を輝かせて問うた。  実は、今まで港町に住んでいながら縁起の良いタイやヒラメを食べる機会が少なく。俺の好物の魚は青魚が大半を占めるため、好都合だったりする。 「なんや、サバが好きなんか?」 「刺身で食べるならブリだけどね」 「グレイは、魚の名前を聞いても分からないよね?」 「でも調理法は知ってますよ。刺身って生ですよね? 新鮮な魚に限ると、以前ウォーター様に聞いたことがあります」  俺とストームの話に付いていけないのではと、心配して尋ねてみたウォームだが、記憶力の良いグレイは耳にした話から大雑把なイメージは出来ているようだ。
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