第34話/新たな道筋

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「もしかしてフレム、お魚料理が食べたいの?」 「だったらウォーターの施設に行かなきゃダメだね。研修の帰りに立ち寄るっていうのはどう?」 「えぇな。今の内に話をつけてしまおうで」  グレイの質問に俺が答えた訳では無いのに、勝手に予定を立て始めるウォームとストーム。  別に魚を食べなくても死ぬ事は無いだろうけど、だからと言って話を盛り下げるのもどうかと思うし、暫く話の成り行きを伺いながら朝食を堪能。  俺が「ご馳走様」と言って合唱する頃には、話がまとまって。出発する前にウェイクの施設から水の守護者であるウォーターに連絡を入れる事となっていた。  ーーところがである。 * * * * * {お断りよ!}  ウォームとストームの話を聞いた彼女は、強い口調で拒否を示した。残念ながら交渉中の二人の背で、相手の表情は窺えなかったけど……。  俺達の予定ばかり主張しては、至極当然な反応だと思う。 9eed768e-a9e1-4af9-afa5-d959f32509f7  ーーていうか、交渉下手糞だな。  機嫌が悪くなったストームが「何でや?!」と尋ねれば、ウォーターが「何でもよ!」とか。まるで夫婦漫才のような言い合いが始まったし……。 「ねぇ、ストーム。ちょっと退いてくれない?」  押し問答が長引くようなら、一方的に通信を切られると思った俺は、軽くストームの裾を引っ張って催促すると前衛を譲って貰った。 {あらっ。もしかして今話題沸騰中の} 「フレム=ウイングと申します。初めまして」 {私の名前は、ウォーター=ドゥラップよ。その肩に乗っているのは貴方の守護竜(ナイト)かしら?} 「はい。名を鳳炎と言います」  俺は相手を怒らせないよう行儀良く穏やかな印象を心がけて答えると、流れるような青髪を緩く束ねてる彼女は、画面越しに営業スマイルを浮かべる。  ーー1度機嫌を損ねてしまった代償はデカイな。  表現は優しそうでも、威圧がひしひしと伝わって不機嫌なのが分かる。 「あの、幾つかご質問しても?」 {いいわよ} 「俺は、ウォーターさんに初めて会った気がするんですけど……。ウォーターさんは、俺が気を失ってる最中に見に来たとかあります? ラーリングみたいに」 {セイクの施設に立ち寄った時にちょっとだけね} 「その時にセイクさんから俺の話を?」
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