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{大なり小なり報告書に目を通していれば分かる事よ。貴方の名前が出ない日も無いしね。それより本題に入ってもいいかしら?}
「どうぞ」
{本気で魚を食べるためだけに、立ち寄るつもりでいるの? はっきし言って迷惑なんだけど}
「ですよね」
俺は、あっさりウォーターの意見に同意した。
ウォームやストームの話が本当なら、安全性に欠けた施設に客人なんて呼びたくないだろうし、相手の予定も尊重しなければ失礼な話だ。
「だからウォーターさんのご都合を教えて下さい」
{私の?}
「実は研修後、魔石の調査を任されそうなんです」
{聞いてるわ。雇用内容にWPが絡んでるそうだけど……。貴方はどっちの味方?}
「ど、どっちの?」
話の流れからしてWPと施設。どちらの都合に則った調査を行うのか聞いているんだろうけど……。
「俺は、どちらの味方にもなりませんよ。ただ聖気を保てる環境にあるのか調べる上で、ウォーターさんに同行してほしいだけなんですけど……。野郎と仕事するのは嫌いなタイプですか?」
{え? あ、大丈夫よ。アイツに言った事は気にしないで。ほんと急な話だったし、此方も仕事があるから何時来るかも変わらない日程は困るの}
ウォーターは、俺の少し落ち込んだ声音の発言に慌て身ぶり手振り否定すると、頑なに断った理由を教えてくれた。
「そう言えば、俺も研修の日程のことは聞いてないけど……。なんか決まってるの? ウォーム」
「え?」
「スフォームは、何泊してもえぇと言っとったで」
冗談にしては、後方で清々しい程のキメ顔に親指まで立て言うストーム。これでは話にならない。
{先が思いやられるわね。あっちでWPと会う約束してたんじゃないの?}
呆れた様子で頬杖を付いたウォーターが二人に尋ねると、ウォームが俺の左横から顔を出して答える。
「あぁ。WPとは、明日の朝一に検問所で会う事になったよ」
「せやから、昼飯時にはとんずらするつもりや」
ーーおい。
どんだけWPを毛嫌いしてるんだよ。
ストームの言い方に俺が項垂れると、ウォーターが同情するように困ったように微笑を溢して本題に戻る。
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