28人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
グレイとストームの話し合いに加わったディフロスの発言に、俺は咄嗟にストップをかけた。
それも耳を疑うような発言だったから、思わず手を上げたぐらいなんだけど……。何事? とばかりに視線が俺に集中する。
「いや、現場分かってるの? 痕跡が残ってるってことだよね?」
「はい。ただそれが、魔法によるものかは別です」
ーーなるほど。
要は現実を受け止めきれてないのか。
それとも魔法攻撃の痕跡とは分からない程の被害を受けてるのか。
「グレイ、やっぱ付いて来てくれる?」
「え?」
「グレイの率直な感想を聞きたいだよね」
遠回しな言い分となってしまったが、要は現実逃避しているLiderの言い分だけでは信用出来ない。けれど二度に渡って俺の魔法を目にしていながらも、現実を受け止めて客観的に現場を見極めるグレイの言うことなら信頼出来そうだ。
ーーとは言え、急な方針転換に何か言われるんじゃないかと思った俺は、周囲の顔色を確認。
特にLiderとしてのプライドが高そうなディフロスから、抗議されるんじゃないかと思って身構えてたけど……。グレイが迷わず「分かった」と言っても、着替えを終えたルシウェルが戻って来ても、提案した俺に突っかかる事無く。むしろ危ないのではないか? と疑問を呈したルシウェルを納得させてくれて助かった。
「なんかすみません……。有難うございます」
立場的にルシウェルに意見を述べるなど難しいことだろうに、俺は肩を持ってくれたディフロスにペコリとお辞儀して、詫びと感謝の気持ちを伝えた。
勿論ディフロスもまた、なんらかの思惑があっての同意でなんだろうけど……。
彼は「気にしすぎですよ」と言って、軽く俺の背中を叩くと、現場に移動する車を手配してくれた。
【初仕事は探偵業務?/完】
最初のコメントを投稿しよう!