それから僕らは、そらを見た。

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それから僕らは、そらを見た。

 中村翔(なかむらつばさ)は、器用に拳銃をくるくる回しながら、十字路の少し手前にしゃがんでいた。 「A・B・C、どの班もサポート準備・バリア設置完了しました」  耳に付けていたインカムから、彼が指揮を執っているモンスターハンターズの各班リーダーの声が聞こえてきた。 「了解。各班、そのまま待機で」 「はい!!」  翔はインカムに向かって指示しながら、目の前で暴走している”モンスター”と呼ばれている存在を見た。最近、モンスターは多く出没していてリーダーである翔は家に帰る時間がほとんど無かった。 「…想良、大丈夫かな…」  翔は、家族で唯一の相談相手である弟の想良(そら)のことをいつも心配している。 「また想良くんの心配か?根っからのブラコンだな、翔」  想良のことを考えていた翔にある人が声をかけてきた。 「…お前に弟いないから、わからないかもしれないけど、弟って意外と憎たらしいところもあるんだぞ」  翔が後ろを向いて言った相手は、翔の幼なじみであり今の仕事の相棒でもある浅葉光太だった。 「はいはい。…お前って想良くんのこと考えること以外はリーダーに合ってるんだけどなぁ」 「俺にとって、あいつは唯一の兄弟だから…」  翔は、すっと立ち上がって言った。 「…そうか」  もう余計なことは言わないと決めた光太はモンスターのほうへと視線を変えた。モンスターには、もう人間の面影は何一つ残っていなかった。 「…よし、行きますか」  翔は回すのをやめていた拳銃を再び回し始め、歩き出した。 「あぁ」  光太も翔の後を追った。
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