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想良は、机に肘をつきながら空を眺めていた。雲一つない快晴だ。
想良の通っている明ヶ丘高校は高台にあるため、町を見渡すことができる。そして、兄・翔が働いている警察署も遠くに小さく見える。
「兄ちゃん、最近会えてないけど、ちゃんと寝てるのかな…」
警察署のほうを見ながら呟いた想良の耳に、男子生徒数人が騒いでいる声が聞こえてきた。
「そういえば、昨日、モンスター出ったって!!」
「でも、またモンスターハンターズが、殺ったんだろ?」
「そう。特に、リーダーっぽい人の動きが速かったって、ちょうど帰りに見てた隣のクラスの数人が、すげぇ興奮して騒いでた」
「へぇ、やっぱり。前回もその前も、ほとんどその人が殺ったって噂だよ」
「その人、何者?名前とか誰も知らないの?」
「なんか、テレビ取材とかは、全部断ってるらしいよ」
「えっ、そうなの?そういえば、テレビといえばさぁ……」
それから彼らは、今日放送するテレビ番組の話題へと話を変えていた。
「……モンスターに、モンスターハンターズか」
想良がため息交じりに呟いて少ししてから、五時間目の予鈴が鳴った。
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