それから僕らは、そらを見た。

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 放課後、想良は自分が入っている陸上部の活動場所である校庭にいた。顧問は国語科の川端拓真という先生である。時に優しく、時に厳しく生徒に関わっている若い先生だからと、陸上部員からも他の生徒からもとても信頼されている。  そんな陸上部で想良は、主に短距離走をしている。想良は入部してから短距離走で何度も1位を取っている。周りの人たちは想良の俊足にとても驚いていたが、想良自身は自分がなぜこんなにも俊足なのか分かる気がした。 「おー、相変わらずお前のクラス、終わるの早いな。一緒にストレッチでもやっとく?」  想良の親友の田屋優希が、笑顔で駆け寄ってきた。 「優希。うん、やっておこうか」  そして、二人はストレッチを始めた。 「今日、晴れてよかったぁ」 「想良、走るの本当に好きだもんな。この前なんて、元陸上部の拓真先生と競争して勝ってたし…」 「あぁ、あの時は先生、ものすごくがっかりしてたよね。なんか、申し訳ない気持ちになったよ」 「ははっ、そうだな」  そんな会話をしながら二人でストレッチをしているうちに、他の陸上部員も少しずつ集まってきていた。 「今日もストレッチから!!」  拓真も来て、部員に叫んでいた。
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