2.Draw

17/18
前へ
/567ページ
次へ
 僕も重い上着を脱いで、レキシアの隣に座った。大きな窓の向こうには星の海が広がり、小さな星々は不平不満も言わず闇の中、健気に輝いている。  引き渡しのことを考えると気が滅入る。  命の保証はないし、要人でもない。僕が命を落とそうとプライマリに打撃はないんだ。最悪捨て置かれる可能性がある。レキシアの意向とは無関係に、上層部の都合で。 「いま不毛なこと考えてるだろう」  図星をさされてどきりとした。だめだな。二人でいると気が抜けるみたいだ。 「必ずおまえを迎えに行く。少しの間だけ、我慢してくれ」  負担をかけちゃいけないひとに負担をかけてる。それがとても心苦しかった。 「僕なら大丈夫だよ。ありがとう。レキも、ラウルやエリックがいるから大丈夫だよね。少しの間、留守しても……」 「いなきゃ困るんだよ。おまえは航空部隊の中核だぞ。あの老害クソ元帥、細胞レベルで腐ってやがる」 「レキ、口が悪い」  年相応なレキシアの悪態に笑いがこぼれた。  空気が変わる。十代の頃に戻ったみたいだ。
/567ページ

最初のコメントを投稿しよう!

234人が本棚に入れています
本棚に追加