3.Past and future

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3.Past and future

 入学後寮生活が始まり、当然ながら意識の高いクラスメイトの熱量についていけなかった。  試験でいい点を取りたいとも思わず、成績はいつも下位の劣等生だった。  レキシアは僕と真逆の優等生だ。試験は大抵首席で、座学のほか射撃や操縦の運動神経も抜きん出ていた。父は政府高官、母は刺繍の先生と、軍人家系ではないのが意外だった。  自費入学の裕福な生徒が大半を占める中、奨学生はごく少数で、二者の間には見えない壁が存在した。  裕福組のレキシアはいつも仲間に囲まれていて、言葉を交わす機会はなかった。わざわざ友人になろうとは思わなかったし、羨ましいとも感じなかった。  人と関わるのは苦手だ。人種が違う。一緒にいたら疲れるだけ。無理して相手に合わせるくらいなら、ひとりでいたほうがマシだ。
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