3.Past and future

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 ***  木陰で冷たい雨をやり過ごすあいだ、ガスカートリッジでお湯を沸かしてインスタントコーヒーを淹れた。  ステンレスのマグカップから白い湯気が立ちのぼる。味はともかく体が内側から温まっていく。 「……エヴァレット先輩はどうして軍人になりたいんですか」  僕は話の切れ間に訊ねた。祖国や家族、出世のため? 敵を叩き潰したい――? 「戦争を終わらせるためだよ」  それは僕にとって、目から鱗の答えだった。歯車の一部として参戦するんじゃなく、自らの手で終わらせようとしてるんだ。 「すごい……」 「馬鹿な夢だと笑わないのか」 「どうしてですか? 僕には無理だけど、先輩なら可能な気がします」  率直な気持ちを口にすると、何故かレキシアは居心地悪そうに肩をすくめた。
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