3.Past and future

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「俺は惑星アウラの出身なんだ」  デミトリオスの南方にある第九惑星だ。三年前、ケルサスとの戦いに巻き込まれた。 「俺が十一歳の時だった。爆撃されて人が住めるような場所じゃなくなって、家族でデミトリオスに移住したんだ」  元をたどればケルサスの侵攻が発端だった。デミトリオスは権益を認めさせるために反旗を翻した。  どちらかが再起不能にならない限り戦争は終わらない、けれど双方の勢力は拮抗したまま半世紀が経つ。隷属に成り下がれば搾取され続ける、それを回避するために。 「何かしらの合意を結んで決着できれば、そこで戦争は終わるはずなんだ。それが長い間実現不可能なのは、なぜだと思う?」  問われて僕は少し考え込んだ。 「憎しみが消えないから? それと……戦争が終わったら困る人達がいるから、ですか。武器や、造艦会社みたいな企業とか」  レキシアは頷き、その他には? と更に問いかける。思いつかず、首を傾げた。
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