234人が本棚に入れています
本棚に追加
情報を制する者はすべてを制すと言うし、国を束ねる立場からすれば、いたって普通の情報網なのかもしれない。
「クレアと一緒がお嫌でしたらマリーと相部屋にいたします」
「嫌とかそういうんじゃないんだ。本当のところはむしろ、」
「好き?」
「ち、違」
「美しい子です。無理もありません」
「だから違うってば。むしろありがたいって、言いたかったんだよ」
気になる存在ではある。放っておけない気にさせられる。
でも、抱きしめたあと気づいたんだ。距離を置くべきだったって。
「ありがたいけど……僕は、クレアと関わっちゃいけないんだよ」
「私の意見を気にする必要はないんですよ。クレアはミハエル様を慕っていますし、数日間だけでも一緒に――」
「ううん、いいんだ」
一緒にいたら、もっと気持ちが傾いてしまう。アニエスやカイみたいに親しくなれば、きっと別れが辛くなる。
自覚しなくちゃ。僕たちは、敵対する者同士なんだって。
温かくて素敵なひとばかりで忘れそうになるけど、心を預けたら……だめなんだ。
最初のコメントを投稿しよう!