9.Get down

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 情報を制する者はすべてを制すと言うし、国を束ねる立場からすれば、いたって普通の情報網なのかもしれない。 「クレアと一緒がお嫌でしたらマリーと相部屋にいたします」 「嫌とかそういうんじゃないんだ。本当のところはむしろ、」 「好き?」 「ち、違」 「美しい子です。無理もありません」 「だから違うってば。むしろありがたいって、言いたかったんだよ」  気になる存在ではある。放っておけない気にさせられる。  でも、抱きしめたあと気づいたんだ。距離を置くべきだったって。 「ありがたいけど……僕は、クレアと関わっちゃいけないんだよ」 「私の意見を気にする必要はないんですよ。クレアはミハエル様を慕っていますし、数日間だけでも一緒に――」 「ううん、いいんだ」  一緒にいたら、もっと気持ちが傾いてしまう。アニエスやカイみたいに親しくなれば、きっと別れが辛くなる。  自覚しなくちゃ。僕たちは、敵対する者同士なんだって。  温かくて素敵なひとばかりで忘れそうになるけど、心を預けたら……だめなんだ。
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