9.Get down

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「出発までにカイと仲直りするよ」  自分でも不思議なくらいカイに突っかかってしまった。いま頃すごく怒ってるだろうな。  「ミハエル様がいらしてから、殿下は生き生きとされてますよ」 「いじめがいがあるんだね、きっと」 「好きが高じるとああなるんです。女性相手でしたら、もう少し素直なんですが」  総じてカイの言動は僕に好意があるとは思えない。根は優しいのに。 「ミハエル様は頑固なところがおありなので、殿下もムキになるのでしょうね」 「……頑固かな」 「意外と」  以前、レキシアにも言われたことがある。ふたりに指摘されたってことは決定的だ……今後の課題として、ひとまず棚上げしておこう。 「カイもバルツァー殿も同時に出払って大丈夫? リセがまた悪さするんじゃない?」  留守の間に手の込んだいたずらをあちこち仕込みそうだ。あの情熱と負のエネルギーは、どこからくるんだろう。どうせなら社会貢献に活かせばいいのに。 「対応策は万全にして参ります」 「アニエスが一緒なら心強いよ」  デイトナはどんな艦だろう。期待にそわそわする一方で、心の隅に払拭し難い不安もあった。 「捕虜交換後は、敵同士に戻りますね」 「そう、だね……」  気にしていたのはそのことだ。逆らえない現実に心が曇る。
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