10.Conflict

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「ハーイ、レキ。皆さんも元気にしてた?」  強めのウェーブがかった焦げ茶のワンレンロング、彫りの深い顔立ち。琥珀色の瞳が懐かしそうに俺たちを映した。軍服のタイトスカートが規定より短いのは気のせいか。 「いつ戻って来たんだ」 「昨日よ」  ルリジシャ・アンセルディは二十三歳の大尉だ。エリックと同じ士官学校出身で、アストベルクの艦ではオペレーターを務めていた。  俺がドレッドノートの司令官に着任した頃、第二宙域(セカンダリ)本部に異動になり、しばらく疎遠にしていた。 「懐かしいじゃん、ルリジシャ。生きてたんだ」 「もちろんよ。あなたたちもお元気そうで何よりだわ」 「出向していたと聞き及んでいましたが」  ラウルが訊ねると、ルリジシャは以前より綺麗になったと認めざるを得ない(あで)やかさで、にこやかに笑んだ。 「第二宙域(セカンダリ)での活躍が認められて、異動が叶ったんですよ、ラウル殿」  ここにいるのは全員ルリジシャの上官だが、敬語なのはラウルに対してだけだ。これは以前と変わらない。   「ミハちゃん、いま大変なことになってるんですってね。Xデーは今日なんでしょう」 「上官を“ちゃん付け”で呼ぶな。部外者のおまえが何故そのことを知ってる」  ひと睨みすると、ルリジシャが椅子の背もたれを引き腰かけた。 「あなたが責任者から外されたことも知ってるわよ。わたしドレッドに配属されたの、オペレーターとして。テオの後任。人事から聞いてない?」
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