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「ハーイ、レキ。皆さんも元気にしてた?」
強めのウェーブがかった焦げ茶のワンレンロング、彫りの深い顔立ち。琥珀色の瞳が懐かしそうに俺たちを映した。軍服のタイトスカートが規定より短いのは気のせいか。
「いつ戻って来たんだ」
「昨日よ」
ルリジシャ・アンセルディは二十三歳の大尉だ。エリックと同じ士官学校出身で、アストベルクの艦ではオペレーターを務めていた。
俺がドレッドノートの司令官に着任した頃、第二宙域本部に異動になり、しばらく疎遠にしていた。
「懐かしいじゃん、ルリジシャ。生きてたんだ」
「もちろんよ。あなたたちもお元気そうで何よりだわ」
「出向していたと聞き及んでいましたが」
ラウルが訊ねると、ルリジシャは以前より綺麗になったと認めざるを得ない艶やかさで、にこやかに笑んだ。
「第二宙域での活躍が認められて、異動が叶ったんですよ、ラウル殿」
ここにいるのは全員ルリジシャの上官だが、敬語なのはラウルに対してだけだ。これは以前と変わらない。
「ミハちゃん、いま大変なことになってるんですってね。Xデーは今日なんでしょう」
「上官を“ちゃん付け”で呼ぶな。部外者のおまえが何故そのことを知ってる」
ひと睨みすると、ルリジシャが椅子の背もたれを引き腰かけた。
「あなたが責任者から外されたことも知ってるわよ。わたしドレッドに配属されたの、オペレーターとして。テオの後任。人事から聞いてない?」
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