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「相変わらず元気そうで安心したよ、ルリジシャ」
あえて態度を変えず応えると、ルリジシャが軽く溜息をついた。
「冷たいのね、ようやくデミトリオスに戻って来られたのに。レキ殿はミハちゃんさえいればそれでいいわけね」
「おまえな、誤解を招く言い方はやめろ」
「だって、私はあなたのこと、一日たりとも忘れたことなかったのに」
丸二年音信不通だったやつが、よく言う。
「終わったんだよ、俺たちは」
ルリジシャのことは嫌いじゃない。けれどもう過去には戻れない。期待を持たせないよう感情を乗せず言ったはずが、ルリジシャは俺の言葉など気にもとめず、ふたりの間にある憂いを吹き飛ばすように微笑んだ。
「わかりました。必ずわたしが必要だって言わせてみせます。会議が終わった頃、改めて伺いますね。スケジュール管理はラウル殿ですか? アポイント取ってきますのでよろしくお願いします!」
なおざりな敬礼とウインクを投げ、ルリジシャはガラス張りのドアの向こうに駆けて行った。めげないやつ……。
ミハエル帰還前に威勢のいいのが戻ってきたが、どうしたものか。優秀なオペレーターは必要だ。ドレッドに加われば、ルリジシャに懐いていたミハエルも喜ぶだろう。
採用か……他にも候補者はいるが、俺が採用しなかったらルリジシャはどこに配属になるんだ? 新しい風を入れるべきか、悩ましいところだな。
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