3.Past and future

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 どう断ってもレキシアが納得しない。あきらめてもらうために事実を話そう。優等生と劣等生は一緒にいちゃだめなんだ。 「母が亡くなってから孤児院に入るまで、ひどい生活を送ってたんです。ひとに言えないこと、たくさんしました」 「へえ……? どんな?」  レキシアは興味深げに僕を見た。察して欲しかったのに、これじゃ逆効果だ。 「秘密です。話したくありません」  話したら、軽蔑される。僕はまだレキシアに嫌われる準備ができてない。だから、話す勇気が出ない。 「じゃあ、もっと仲良くなったら教えてくれよ」 「絶対仲良くなりません」と断言すると、レキシアが気を悪くするでもなく「冷たいな」と笑った。  レキシアの飾らない言動は、僕の気持ちを動かそうとする。    トップに立つ器を持っているのに、つまらない足の引っ張り合いに邪魔されて、本来の能力を封じられてしまうなんて馬鹿げてる。  つまらない嫉妬から、悪意から、レキシアを守ってあげられたらどんなにいいだろうと淡い夢が頭をもたげた。でも……。
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