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校舎内ですれ違うとレキシアはいつも仲間に囲まれていた。言葉を交わす機会はなく、研究会へ誘われることもなかった。
寂しいとか、そんな感情は湧かなかった。これが望んだ日常だ。淡々と授業に参加して、ひとりの時間を過ごす。何にもわずらわされない。
以前と変わったのは、勉強してみようという気になったことだ。
レキシアのいるレベル、その視点から見える世界がどんなものか興味があった。学べば学ぶほど、固定観念が崩されていく。視野が広がっていく。
面白い。もっと触れたい。知らないことを知りたい。知識欲がどんどん膨らんだ。一年生の時とは大違いだった。
*
勉強が軌道に乗り始めたある日、思いがけないことが起きた。
僕の秘密は、この日、秘密でなくなる。
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