3.Past and future

10/25
前へ
/567ページ
次へ
 校舎内ですれ違うとレキシアはいつも仲間に囲まれていた。言葉を交わす機会はなく、研究会へ誘われることもなかった。  寂しいとか、そんな感情は湧かなかった。これが望んだ日常だ。淡々と授業に参加して、ひとりの時間を過ごす。何にもわずらわされない。   以前と変わったのは、勉強してみようという気になったことだ。  レキシアのいるレベル、その視点から見える世界がどんなものか興味があった。学べば学ぶほど、固定観念が崩されていく。視野が広がっていく。  面白い。もっと触れたい。知らないことを知りたい。知識欲がどんどん膨らんだ。一年生の時とは大違いだった。 *  勉強が軌道に乗り始めたある日、思いがけないことが起きた。  僕の秘密は、この日、秘密でなくなる。
/567ページ

最初のコメントを投稿しよう!

234人が本棚に入れています
本棚に追加