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【レキシアSide】
シンを引き連れ兵站部隊の艦からドレッドノートに戻った俺たちは、エリックの帰艦を待ち司令室に場所を移した。
ミーティングテーブルに着席した俺は、正面に座るシンを一瞥する。ラウルは黙し、エリックは胡散臭げにシンを窺っている。
終始大人しいシンから敵意や殺気は感じられず、気おくれした様子もない。神経の太さと順応力は人並み以上だ。
「なにから話しましょうか。わかる範囲でお答えしますよ」
包み隠さずどこまで明かす気がある? 妹のために。味方となり得るのか、シンは。
「エルンストの生死はどうなっている」
「すでに落命しました。親族にも未公表の機密ですので、お取り扱いにはご注意を」
「カイ王子にも?」
「知らされてません」
バルツァーは最初からプライマリを謀っていたのだ。亡くなった事実をなぜ親族に伏せているんだ。問うと、王位継承を先送りするためだとシンが答えた。
理由として、次期国王を立てる猶予期間が必要らしい。現国王のイグニスは病床の身で、崩御後はエルンストが王位に就く。エルンストの即位が見込めないとなれば、次は誰だ。
「死亡確定の場合は、イグニス王の跡目はカイか」
「いえ、カイ王子には王位継承権がありません」
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