12.Crossroad

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「なぜだ」 「生まれつき脚がお悪いんですよ。“王位を継ぐ者は心身ともに健全でなければならない”との不文律がレガリアにはあるんです」 「因習か。では、王位はバルツァーが?」  それも“いいえ”です、とシンが頭を振り否定する。 「エルンストと側室の子で、カイよりひとつ年少のリセ王子がいます。いまのところリセが継承予定ですが、超がつくほどの問題児でしてね」  バルツァーはリセを王位に就かせたくない。ゆえにエルンストの生死を伏せている――。  狙いはわかったが、だとしたら、誰を即位させようとしてるんだ。リセを葬ればバルツァーの継承順位は上がる。下剋上を企んでいるのだとしても。 「周囲を欺き続けるのも限界があるだろう」 「ええ。だからこそ画策してるんですよ、バルツァーは」  独善的な策謀(はかりごと)に、ミハエルは利用された。汚いやり方で。バルツァーの真の目的はいったい……。  問いただすのをためらったのは、受け入れ難い予感が頭をもたげたからだ。胃に針で刺すような痛みが走る。確実に俺の望まないほうへ話が進もうとしていた。  ミハエルが連れ去られた理由を、認めたくない。  だが、認めなければ、真実にたどり着けない――。 「ミハエルは、イグニス王家と(ゆかり)があるんだな」 「ご名答です」
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