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「はあっ!?」
吃驚の声を上げたのはエリックだ。ラウルが当惑し眉をしかめる。シンはトーンを変えず淡々と続けた。
「バルツァーが躍起になっていた点からも、リセより高位なのは明らかです」
「いやいやいや! 冗談っスよね、ミハが王家のVIPとか!」
動揺したエリックがシンの話を遮った。叫びたいのは俺も同じだ。ミハエルは王家と繋がりがあるだけでなく、高位の人間なのか。にわかには信じられないし、信じたくもない。
ミハエルが生い立ちを偽っていたとも思えず、考えれば考えるほど頭が混乱してくる。
孤児院に入る前の過去を含め、俺はミハエルの大部分を知った気になっていた。誰にも明かさず抱えていた秘密がまだあったとして、それが王家との繋がりだったのなら……。俺の手に負える範疇をすでに超えている。
「イグニス王家直系の御子には、右足の裏に鷲の紋章が刻まれています。心当たりはありますか」
シンに決定的な身体的特徴を告げられて、俺は言葉を失くした。
ミハエルの足の裏には、痣がある。紛れもなく。
消えては現れる、鷲の文様だ。
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