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「うわ、ラウルってばズリぃ、なんかレキ殿と通じ合っちゃってるし。おれだって他言しないし、忘れる用意できてますよ。ちゃんと聞かせてください!」
「私も一緒に忘れるべきですかねぇ」
エリックに続き、シンがするりと口を挟む。
「あったりめーだろ。できなきゃ宇宙に放り出すぞ。っていうか、もう用済みっすよね、この男」
生かしておくのは酸素の無駄だとエリックが俺に訴える。シンがすかさず「あんまりでしょう、真摯に洗いざらい打ち明けてるのに」とぼやいた。
「まあ待て。エリックもあまりシンをからかうなよ」
シンが胡散臭いのは初見から一貫してる。そこはあきらめるとしてだ。信頼関係が築けるとすれば、もう少し先の話になるだろう。
小休止を挟みラウルの淹れたコーヒーを嚥下した俺は、気を取り直し話を再開した。
「ミハエルの右足には、鷲の文様がある。恐らくイグニス王家の紋章だ」
核心に触れると、場が水を打ったように静まり返った。数秒の間をあけ、うろたえながらエリックが反応を返す。
「レキ殿、それってお洒落タトゥーなんじゃ……」
「ミハエルがそんなものをわざわざ足の裏に入れると思うか」
エリックなら“ファッション”と称して気軽に入れそうだが、ピアスすら開けてないからな、ミハエルは。
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