12.Crossroad

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「う……ミハの性格上あり得ないっす、マジかぁ……でもなんで足の裏?」 「目立つ場所だと、なにかと標的にされやすいからですよ」  懐疑的だったエリックがシンの説明に絶望をにじませ、頭を抱えた。 「ラウルは文様(あざ)の件をミハエルから聞いたことは?」 「いいえ、なにも……ミハエル殿が仮に王子なら、なぜ敵地のデミトリオスで暮らしていたのでしょう」  至極真っ当な疑問だ。ラウルがガラスポットを片手に、二杯目のコーヒーをそれぞれのカップに注いでいく。 「王宮内の紛争から逃れるため、母君が身分を偽り亡命したんですよ」  シンはミハエルがデミトリオスで暮らすに至った経緯を、順を追って説明していった。 「亡命後も奥方は刺客に追われ、しばらく各地を転々としていたようです。そのうち音信不通になり、行方知れずに」 「ずいぶん執拗な追っ手だな」 「ミハエル殿を亡き者にすれば、後継として優位に立てる輩がいますからね」  レオノールの次はミハエル、ミハエルが脱落すれば、エルンストが王位に就く。とすれば、ミハエルと母君の命を狙っていたのは、反乱を起こした弟の残党ではなく、騒動に便乗したエルンストなのか?   バルツァーは当時八歳だが、エルンストは十歳上の十八歳だった。臣下に命じれば暗躍も可能なはず。
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