3.Past and future

17/25
前へ
/567ページ
次へ
***  フィーネは病院に運ばれて二日後に亡くなった。メアリ先生から知らされ、体から力が抜けるのを感じた。  本当に遠くへ行ってしまったんだ。十五年という短い歳月の中で、幸せだと言える日がどれほどあっただろう。決して多くはないことを思うと、心が痛む。 「先生、僕は退学でしょうか」  レキシアはどんな報告をしたのだろう。不安なままでいるのが嫌で意を決して切り出すと、先生が苦笑した。 「幼なじみの子が会いに来て退学になる生徒なんていないわよ」 「でも……エヴァレット先輩から聞いたんですよね、フィーネと僕のこと」 「仲が良かったんだって」 「それ以外は」 「特にないわねぇ」  どうして……レキシアは全部話さなかったんだ。 「すみません。いろいろご迷惑をおかけしました」 「いいのよ。あなたも幼なじみが亡くなってショックでしょうけど、前向きにね」  教官にも同じ報告をしたのだろうか。わざわざ訊きに行くのはおかしいし、何よりもうレキシアと関わりたくなかった。    静かにやり過ごそう。分相応に。それ以上は望まない。  望んじゃいけないんだ。
/567ページ

最初のコメントを投稿しよう!

234人が本棚に入れています
本棚に追加